闇バイトで住宅に侵入しようとした罪に問われている男。5日の初公判で「織田信長」を名乗る人物から「窓を割れ」と指示され、拒否すると「もう戻れないぞ」と言われたと語りました。
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栃木・益子町で今年9月。事件発生直後、被害にあった住人の親族が、男を取り押さえた瞬間の映像には、金品を盗む目的で住宅に侵入しようとした罪に問われている森健太郎被告(25)が、撮影を拒んでいる様子が映っていました。
森被告は「ごめんなさい、本当にごめんなさい」と謝りながらも、誰かと電話で話して、「『スピーカーにして』って言われているんですけど、しても大丈夫ですか?」と電話の相手に尋ねる様子も。
電話の相手は、画面上に「織田信長」と表示されています。住人の親族が「織田信長」に「闇バイトをやってるだろ?」などと問いただすと、「織田信長」を名乗る人物は「やってませんけど。え、どうしたらいいですか?」と言って、その後、電話は切られました。
8月以降、関東を中心に相次いでいる、“闇バイト”による事件。一連の事件の背後には「指示役」がいるとみられていて、「織田信長」も、指示役グループが使用しているアカウント名の一つとみられています。
「織田信長」に指示されていたとみられる森被告。さらに、共謀したとして、佐々木花梨被告(22)も、同じ罪に問われています。
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5日に行われた、2人の初公判。一連の強盗などの事件を巡っては初めてとなる裁判です。冒頭、起訴内容について認めた2人。
森被告は、事件のきっかけについて、「上野で友人とお酒を飲んでいて、友人が席を立った時に見知らぬ男から『人を運べば2万円稼げる』と声をかけられ、SNSを交換した」と説明。
それは「明智」と名乗る男。森被告が免許証や個人情報などを送ったところ「明智」からは、「『織田』から指示がある」と言われ、その後、「織田」からの指示で、佐々木被告とともに、レンタカーで現場へ向かったといいます。
森被告は「通話のまま(織田の)指示通り動いた。『窓を割れ』と指示があり『いやだ』と答えたが、(「織田」に)『もう戻れないぞ』と。明智や織田にダマされたと思った。人を運ぶと言っていたのに。取り返しのつかないことをしてしまったと思っている」と話しました。
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あとを絶たない、闇バイト事件。警察庁によると、闇バイトに応募して怖くなったなどとして、警察が保護したケースは、先月末までの約1か月半で、125件にのぼったといいます。
たとえば、ある20代の女性。きっかけは、一般の求人サイトでした。見つけたアルバイトに応募し、住所などの個人情報を送ったところ、掲載されていた仕事内容と相手の説明が異なっていたため、おかしいと感じ、断ることに。すると「SNSで個人情報を公開する」と脅され、警察に相談したといいます。
50代以上の人が巻き込まれるケースも。友人からアルバイトを紹介され、指定されたSNSのグループチャットに入り、氏名・住所・連絡先などを送ったところ、「携帯電話を契約して、譲り渡せば数万円もらえる仕事です」と返答が。これは怪しいと思い、相談したといいます。
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身近に潜む、闇バイト。警察のトップはこう呼びかけています。
警察庁 露木康浩長官
「犯罪者に個人情報を知られたからといって、脅しには屈しないでください。警察はしっかりと保護します」