弥生人が火を使い鉱石採掘か、徳島の遺跡の内部数か所にすす付着…専門家「本格的な鉱山経営と推測」

徳島県阿南市水井町の国史跡・若杉山辰砂採掘遺跡で、新たに弥生時代後期~古墳時代初め(1~3世紀)に鉱石・辰砂を採掘した跡1基を確認したと市が19日、発表した。採掘跡からは火を使った痕跡があり、硬い岩盤を火で熱して掘り進める高い技術を用いていた可能性があるという。
この日、現地で行われた報道関係者や住民向けの説明会で市が明らかにした。辰砂は赤色顔料(水銀朱)の原料で、水銀朱は弥生~古墳時代に石室や木棺内に塗るなどして利用された。
新たに見つかった採掘跡は、太龍寺山(標高618メートル)の中腹にある斜面の段々畑に位置。直径約40センチ、深さ約50センチのくぼみで、内部にすすが数か所付着していた。同遺跡内で確認された採掘跡としては4基目。採掘跡内部からは石杵や土器も出土した。
市文化振興課などによると、すすが見つかったことで、同時期の中国やイタリアでも確認されている「火入れ法」と呼ばれる採掘方法が行われていた可能性があるという。今後の調査ですすの年代を特定する。
同遺跡では2019年、これまで最古とされてきた山口県美祢市の長登銅山跡の坑道(8世紀)を約500年さかのぼる国内最古の坑道が発見され、同10月に国史跡に指定された。
弥生時代に詳しい徳島文理大の大久保徹也教授(考古学)は「弥生人が高い技術を持って本格的に鉱山経営をしていたことが推測できる」と話した。
2月1日午後1時から、阿南市の市情報文化センターで、市の担当者が発掘調査の結果などを報告する講演会を開く。事前申し込みは不要で、入場無料。

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