眠れぬ日々から「一安心」 避難指示解除の住民帰宅 大船渡山林火災

岩手県大船渡市で起きた山林火災で、市は7日、延焼の危険性が下がったとして、同市赤崎町の一部地域の約1000人に対する避難指示を解除した。この火災による避難指示の解除は初めて。残る約3600人に対する避難指示は継続している。
5日に火災発生以降初となるまとまった雨が降り、火の勢いは弱まっていた。焼失面積も約2900ヘクタールから広がっていないが、鎮圧宣言には至っていない。
避難指示が解除されたのは赤崎町の6地区(宿、後ノ入、森っこ、大洞、生形、山口)計957人。午前10時に防災行政無線で解除の知らせが届くと、対象地域の住民は久しぶりに我が家へと帰った。
宿地区の金野成志さん(69)は発生翌日の2月27日夕から市内の親戚宅に避難していた。小雪がちらつく中、8日ぶりに自宅に戻ると、持ち出した位牌(いはい)や着替えなどの荷物を運び込んでいた。「避難する前は自宅からも山の火がはっきりと確認でき、怖くて眠れなかった」という。「親戚宅でもやはり気を使うので、やっと一安心だ」と笑顔を見せた。
同じ宿地区の団体職員、高橋俊裕さん(62)の実家には、火元に近い同市三陸町の綾里(りょうり)地区から親戚4人が避難していた。しかし、2月28日にはこの地区にも避難指示が出て、他の地区に再度避難し直したという。解除に安堵(あんど)した様子を見せながらも「綾里など被害の大きいところはどうなるのか」と話していた。
一方、県は2月27日に市内の県道脇で見つかった遺体について、柴田吉郎さん(90)と確認し、公表した。死因は焼死という。
県によると、まだ火がくすぶっている地点があるとして、消防や自衛隊などによる消火活動が続いている。【佐藤岳幸、工藤哲、奥田伸一】

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