企業献金巡り本格論戦へ…与党との「過度な接近」警戒の維新、立民と共闘し「禁止」迫る

企業・団体献金を巡る国会論戦が来週から本格化する。「禁止よりも公開」を訴える自民党に対し、衆院での予算案審議で与党と協力した日本維新の会は、立憲民主党とともに禁止の実現を訴えて真っ向から対立する構図だ。与野党は月末までに結論を得ることで合意しているが、着地点は見通せない。
「『公開』でお茶を濁し、幕引きを図ろうとしているのは見え見えだ。国民をなめているのではないか」
維新の柴田巧参院議員は6日の参院予算委員会で、石破首相にこう詰め寄った。首相は、企業・団体献金について「多寡によって政策をゆがめたことはない」と反論し、透明化を進めつつ存続させる考えを改めて強調した。
自民は2月、年間1000万円超の寄付をした企業や労働組合などの名称や金額を政党ごとに公表する政治資金規正法改正案を単独提出した。衆院政治改革特別委員会の与党理事は6日、企業・団体献金に関する各党の意見表明を10日の特別委で実施し、12日に各党が提出した法案の審議に入る方針を確認した。
維新は、与党と過度に接近していると見られるのを嫌い、自民への対決姿勢を強めている。昨年の臨時国会で企業・団体献金の禁止法案を提出した立民と法案の一本化を目指し、協議を急ぐ。政治団体からの寄付を認める立民案とは隔たりもあるが、前原誠司共同代表は6日の記者会見で「立民とまず連携し、良い案ができた上で衆院で可決されるような取り組みをしていきたい」と述べた。
立民の重徳政調会長も6日の記者会見で「『政治とカネ』にまみれた金権政治の温床となっているのが企業・団体献金だ。(自民を)追い込んでいく」と意気込みを語った。夏の参院選で自民に対する最大の攻撃材料になるとみて、共産党などにも共闘を呼びかける構えだ。
ただ、野党間には足並みの乱れもある。民間系の労働組合から支持を受ける国民民主党は、自民案に賛同することは否定するものの、禁止法制定にも「実効性を担保できるのか」(古川元久代表代行)と慎重な立場だ。独自の法案提出は見送る考えで、7日に党内の意見集約を図る。
公明党も参院選を控え、政治資金問題で自民と同一視されるのを避けるため、独自案を検討している。6日に開いた党政治改革本部会合では、〈1〉企業・団体献金の上限額を巡る規制強化〈2〉個人献金の促進〈3〉企業などの政治献金を原資とする基金の創設――を柱とする対応策をまとめた。自民に配慮し、禁止には踏み込まなかった。
もっとも、立民と維新、自民と公明がそれぞれ法案を一本化しても、衆院での過半数には及ばず、成立の見通しは立たない。自民内には早くも、「全ての案を廃案とするのも(月内決着の)一つの結論だ」(中堅)との声が出始めている。

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