金属ケーブル取引、買い取り業者に本人確認を義務化…「金属盗対策法」案を閣議決定

太陽光発電施設で金属ケーブルの窃盗被害が相次いでいることを受け、政府は11日、金属くずの買い取り業者に取引相手の本人確認などを義務づける盗難金属処分防止法(金属盗対策法)案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。
警察庁によると、太陽光発電施設での金属ケーブル窃盗は昨年、全国で7054件(前年比1693件増)発生し、金属盗全体(2万701件)の約3割を占めた。摘発件数は前年の約2・7倍の868件で、カンボジア人グループを中心に外国人窃盗団の関与が目立つ。
古物営業法では業者に取引時の本人確認を義務づけているが、切断されたケーブルは「金属くず」とみなされるため適用外で、盗品の流通対策が課題だった。
法案では、金属くずの買い取り業者を都道府県公安委員会への届け出制とし、無届け業者には6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金を科す。業者には取引相手の氏名や住所、生年月日などの本人確認のほか、取引記録の作成・保存(3年間)を義務づける。
違反した場合は行政指導や営業停止命令(6月以内)の対象となり、命令違反には、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金を科す。
対象となる金属くずは銅に限定するが、被害状況などに応じ、ほかの金属についても政令で追加する。
金属を切断するケーブルカッターなどの工具を、正当な理由なく携帯する行為も罰則付きで禁じる。新法は成立後、公布から1年以内に順次施行される。

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