知床観光船事故の損害賠償訴訟、桂田精一被告が請求棄却求める…原告男性「死ぬまで喪失感消えない」

北海道知床半島沖で2022年4月、乗客乗員26人が死亡・行方不明となった観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、乗客の遺族ら29人が運航会社「知床遊覧船」と社長の桂田精一被告(61)(業務上過失致死罪で起訴)に計15億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、札幌地裁(小野瀬昭裁判長)であった。桂田被告も出廷し、請求棄却を求める答弁書を提出した。
この日は原告11人が意見陳述し、息子(当時7歳)と元妻(同42歳)を失った北海道帯広市の男性(52)は「死ぬまで喪失感は消えず、心から笑うこともないと思う」と涙ながらに訴えた。
原告側は訴状で、桂田被告や死亡した船長(当時54歳)は、船首ハッチの不具合を見逃したり、天候悪化に伴う事故発生を予見して出航を中止するのを怠ったりしたと主張。被告側は「事故発生は予見できなかった」などと反論し、ハッチの不具合の存在についても争う姿勢を示している。
桂田被告の刑事裁判の日程は決まっていない。

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