日置5人殺人事件 控訴棄却し一審の死刑判決支持「精神障害の影響あっても軽微」 福岡高裁宮崎支部

日置市で2018年、親族ら男女5人を殺害した罪に問われた男の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部は13日、一審の死刑判決を支持し控訴を棄却しました。(【画像】岩倉被告や2018年の事件現場)
この事件は日置市東市来町湯田に住む無職・岩倉知広被告(45)が2018年、近くに住む祖母・久子さんの住宅で、久子さんと父親の正知さんの首を絞めて殺害し、2人の遺体を空き地に埋めたほか、住宅に安否確認に訪れた親族ら3人を相次いで殺害したとして殺人と死体遺棄の罪に問われたものです。
岩倉被告は犯行を認めていて、一審の争点は刑事責任能力の有無でした。一審の判決では「被告に妄想性障害があったとしても軽微で、自らの選択で5人の尊い命を奪った」などとして死刑が言い渡されました。2009年に裁判員裁判が始まって以降鹿児島地裁で初めてとなる死刑判決で、岩倉被告は不服として控訴していました。
控訴審は去年10月にはじまり争点は一審に続き責任能力の有無でした。弁護側は「被告は心神耗弱で行動制御能力が著しく低下していた」と主張し、『完全な刑事責任能力があった』とする一審判決の破棄を求めました。一方、検察は「一審判決は正当」として控訴の棄却を求めていました。
13日の控訴審判決で福岡高裁宮崎支部の平島正道裁判長は「完全な刑事責任能力を認めた一審は正当。いずれの犯行も被告の人格が影響し、精神障害の影響はあっても軽微」などとして一審の死刑判決を支持し控訴を棄却しました。
岩倉被告は8人の刑務官に囲まれ裁判長の前の証言台ではなく弁護士の横で判決を聞きました。終始、少しうつむきながら判決の瞬間も表情を変えず裁判長を見つめていました。控訴審がはじまってから岩倉被告に発言の機会は一度も与えられることのないまま公判は終わりました。
被告の弁護人によりますと、13日の判決を不服とし上告する方針だということです。

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