死亡事故で男性に逆転無罪 札幌高裁、回避可能か疑義

北海道苫小牧市で2019年、女性を車ではねて死亡させたとして自動車運転処罰法違反(過失致死)罪に問われた団体職員の男性被告(63)の控訴審判決で、札幌高裁は18日、禁錮10月、執行猶予2年とした一審札幌地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。「視認できた地点でブレーキを踏めば衝突を避けられた」とした一審判決には疑いが残ると判断した。
男性は19年3月30日、苫小牧市の道路を、夜間で見通しが悪いのに減速せずに走行し、横断中の無職女性=当時(75)=をはね死亡させたとして21年11月に起訴された。
24年3月の一審判決は、車は女性が倒れていた地点の約25メートル手前で衝突したと認定した上で、男性は女性との衝突を回避できたと判断した。
高裁の青沼潔裁判長は判決理由で、男性の視認能力や、気付いてからブレーキを踏むまでの反応時間によっては「結果回避可能性に疑いが生じる」と結論付けた。
札幌高検の上本哲司次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とのコメントを出した。

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