旧統一教会に解散命令、法令違反による解散命令3例目…教団側「即時抗告を検討」

東京地裁は25日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、宗教法人法に基づく解散命令の決定を出した。文部科学省が、違法な勧誘で高額な献金をさせる民法上の不法行為を繰り返したとして地裁に解散命令を請求していた。
地裁は決定で「民法上の不法行為に該当する献金勧誘行為を約40年の長期間にわたり、全国的な範囲で行って類例のない膨大な規模の被害を生じさせた」と述べ、解散命令の要件である「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為」に該当すると判断した。
法令違反による解散命令は3例目だが、不法行為を理由としたのは初めて。オウム真理教など過去2例は、幹部らが起こした刑事事件が根拠となっていた。
決定を受け、教団は同日、「誠に遺憾ではあるが、決定を重く受け止め、東京高裁への即時抗告を検討していく」とするコメントを出した。一方、阿部俊子文科相は「主張が認められたと受け止めている。旧統一教会への対応に引き続き、万全を期していく」とのコメントを発表した。
文科省は2023年10月、教団が1980年頃から継続的に高額献金や霊感商法による被害を生じさせ、損害賠償責任を認めた判決は32件(被害額約22億円)に上るなどとして解散を請求。教団側は組織的に違法行為をしたことはないとした上で、信者に法令順守の徹底を求めた2009年の「コンプライアンス宣言」以降、被害の訴えは激減し、解散命令の要件は満たさないと反論していた。
同地裁では昨年2月以降、非公開の審問が開かれ、元信者や現役信者らへの証人尋問などを実施。今年1月、文科省と教団側の双方が最終的な主張書面を提出し、審理が終結していた。
地裁の決定に対して、教団は即時抗告できる。高裁が解散命令を支持した場合は確定し、裁判所が選任した清算人による清算手続きに移る。最高裁に特別抗告しても清算手続きは続くが、解散命令の判断が覆れば手続きは停止される。
解散命令は、礼拝施設などの財産を所有する能力を与える目的で宗教団体に与えられた法人格を失わせる手続き。法人格がなくなれば法人名義の資産を所有できず、宗教法人に認められる税制優遇なども受けることはできない。法人格のない任意団体などとして存続はでき、信者らの宗教行為が制限されることもない。

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