日ブラジル会談、中国依存への歯止め狙う…発言力増す新興国の雄に関係強化呼びかけ

石破首相が26日の首脳会談でブラジルとの関係強化を呼びかけたのは、新興・途上国「グローバル・サウス」のリーダー格として同国の発言力が増していることが背景にある。同国が重視する気候変動などでの支援を通じて、中国への傾斜に歯止めをかけたい考えだ。
ブラジルのルラ・ダシルバ大統領は今回、日本として最も手厚い接遇を行う国賓として来日した。首相は26日の会談冒頭、「戦略的なグローバルパートナーとして、関係を一層強化したい」と力を込めた。
両首脳が採択したアクションプラン(行動計画)には、首脳往来の定例化が盛り込まれた。ルラ氏は会談で、「非常に重要なことだ。個人的な関係性が築かれていないと国家間の関係が難しくなる」と意義を強調した。
ブラジルは、中南米最大の人口と経済力を持つ「世界の大国」(首相)として存在感を増している。家畜の飼料であるトウモロコシや大豆を多く生産し、工業に必要な鉄鉱石の供給国でもあり、外務省幹部は「日本にとって経済安全保障の要」と位置づける。
ブラジルは中国やロシアなどと構成するBRICSのメンバーでもある。中国と貿易面で結びつきが強い一方、途上国支援に否定的なトランプ米政権はグローバル・サウスとの距離を広げつつある。
トランプ米大統領による関税措置も対立の火種となっている。ルラ氏は会談で、米国を念頭に「保護主義がいくつかの重要な国で議論されている」と不快感を隠さなかった。日本としては米国の穴を埋めて、ブラジルを引きつけたい意向だ。
ブラジルではアマゾン地域が干ばつに見舞われるなど気候変動の影響が顕著で、行動計画には自然災害対策などでの協力も明記した。日本政府関係者からは「ブラジルが議長国を務める今年の国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に首相が出席し、関係をさらに深めるべきだ」との意見も出ている。

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