かつて上野と札幌を結んだ寝台特急「カシオペア」が、今年6月の運行を最後に完全引退する方針であることが28日、JR東日本関係者への取材でわかった。9年前に定期運行を終えたカシオペアはその後、ツアー専用の臨時列車として活躍してきたが、車両の老朽化などを理由に、長い旅路に幕を下ろすことになった。
1999年7月に運行を開始したカシオペアは、北海道新幹線開業に伴って青函トンネル内の架線の電圧が新幹線用に切り替わることに伴い、2016年3月に定期運行を終了した。その後は旅行会社が販売するツアー商品の臨時列車「カシオペア紀行」として、東日本各地で運行を続けている。1編成しか存在せず、シルバーメタリックの車体に5本のストライプをあしらったデザイン性の高さは、今でも根強い人気を誇る。
JR東関係者によると、運行開始から25年以上が経過し、車両の老朽化が進んでいるほか、車両を引っ張る機関車が減少しているという。6月に予定する宿泊付きのツアーをラストランにすることにした。引退後の車両の扱いは今のところ決まっていない。
完全引退に向け、線路付近や駅構内で撮影を試みる鉄道ファンが増える可能性があり、JR東は安全確保に努めるとともに撮影マナーの順守を呼びかける。