パンダ帰国の理由は「契約満了」 アドベンチャーワールド園長

アドベンチャーワールドの今津孝二園長は24日、園内で報道陣の取材に応じ、ジャイアントパンダ4頭の帰国について「契約満了で致し方ないが、次のステージに向けて新たなスタートが切れると前向きに捉えている」と説明した。
約30年にわたって中国側と共同研究にいそしんできた実績を強調。今後新たにパンダを迎えるかどうかは「決まっていない」としつつ、研究継続のため、引き続き中国側に貸与を働き掛ける考えを示した。
今津園長によると、契約満了後の帰国について中国側と協議。パンダは暑さに弱いため、移動には気温の高い7~8月を避け、比較的涼しい6月末ごろ、中国に向けて出発する方針で合意したという。具体的な日時は未定だが、出発までの約1カ月間は隔離検疫のためガラス越しでの公開となり、屋外の観覧は5月中に終える見通し。
突然の全頭帰国発表は、地域住民にも衝撃を与えた。「パンダは生活の一部。びっくりだし、ショックです」。アドベンチャーワールド近くのスーパーに買い物に来ていた和歌山県田辺市の松下美佐子さん(62)は驚きを隠さなかった。
「30代になった子ども2人が小さい時から誕生日のたびに見に行った思い出でいっぱいです。アドベンチャーワールドのパンダは白浜で生まれた子が多く、赤ちゃんの時から成長を見られるのがうれしかったし、動きもかわいいので大好きです」と残念がった。
2011~17年に上野動物園で園長を務めた日本パンダ保護協会(東京)の土居利光会長(73)は「いっぺんに帰ってしまうのは寂しいが、このまま雄のいない環境で暮らすのは可哀そうだ。パンダの未来をつなげていくという視点で、前向きに見守ってほしい」とした上で、日本としては「新たな個体にペアで来てもらい、繁殖に貢献していくことが大切だと思う」と望んだ。【安西李姫、大澤孝二、根本佳奈】

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