アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)のジャイアントパンダ返還が決まったことで、上野動物園(東京都台東区)に残る双子のパンダ、シャオシャオ(雄)とレイレイ(雌)=いずれも3歳=の“去就”も気になるところだ。国内で初めて飼育が始まった上野のパンダは日中友好の象徴として大事にされてきたが、列島からパンダが消える日も来るのか――。
日本でパンダの飼育が始まったのは1972年。日中国交正常化を契機に中国からカンカン、ランランが日本側に贈られ、上野で飼育されることになった。この時、当時の二階堂進官房長官に呼ばれた園長らが「決して殺してくれるなよ」と言われたというエピソードも残されている。
中国は日本以外の国に対してもパンダを贈る「パンダ外交」をしてきた。しかし、84年にワシントン条約で「最も絶滅危惧のレベルが高い生き物」に分類されると商業目的の国際取引が禁じられ、上野のパンダも「贈与」から繁殖・研究を目的にした「貸与」に変わった。また保護の名目で「レンタル料」も発生するように。正式な発表はないが、雄雌のペアで年約1億円と言われている。
上野では、中断期も含めて53年間で計15頭を飼育してきた。7頭が誕生し、うち5頭(トントン、ユウユウ、シャンシャン、シャオシャオ、レイレイ)が成長した。
2021年6月生まれのシャオシャオとレイレイは順調に成長しており、24日の発表によると、17日現在でシャオシャオが95・7キロ、レイレイが93・1キロとなった。タケを中心にニンジン、リンゴを食べており、この時期はタケノコも好む。また23年7月から、健康管理に必要な動作を覚える「ハズバンダリートレーニング」を頑張っているという。
双子の返還期限は26年2月20日。高血圧の治療などのため24年9月に返還された両親のリーリー(雄)、シンシン(雌)の元々の期限に合わせて設定された。ただ過去には期限が延長された例もあり、都の担当者は「双子の具体的な返還日などについては未定」と期待をにじませる。【柳澤一男】