半袖短パンの外国人観光客「蝦夷富士」を無謀登山 標高1750メートル「寒くて動けず」

「蝦夷富士」と呼ばれる北海道の羊蹄山(1898メートル)で13日夜、軽装で登山した外国人の男女2人が遭難し、ヘリで救助されていたことが16日、北海道警への取材で分かった。2人は英国からの訪日観光客でけがはなかったが、十分な準備をせずに山に入ったことが原因とみられる。
道警によると、遭難したのは英国籍の自称テレホンオペレーターの男性(30)と自称トリマーの女性(29)。13日午後6時10分ごろ、倶知安(くっちゃん)町側の羊蹄山で男性から「2人で歩いていたが、寒くて避難小屋に行けなくなった」と110番通報があった。
通報から約1時間後、道警ヘリが山頂近くの9合目付近(1717メートル)で2人を発見、救助した。2人とも軽装で男性が青色の長袖ジャンパーとハーフパンツ、女性が白色の半袖シャツと長ズボン姿だった。救助後に女性が寒さを訴えて病院に運ばれたが、症状は軽く治療は受けなかった。男性は9年、女性は2年の登山歴があったという。
羊蹄山では令和6年の1年間で16人が遭難。このうち外国人の遭難者が6人に上り、中国人が3人と最も多かった。道警は「5月の北海道で標高の高い山は本州の冬山に近い環境と考え、入念な準備とともに登山計画書の提出をお願いしたい」として、防寒着やGPS機能付きの通信手段、非常時の食料などの携行を呼び掛けている。
また、今回の山岳救助にかかった費用について「費用の請求を想定しておらず、金額は算定しない」と説明。各地で相次ぐ無謀な登山者に対し、自治体などが費用請求を求める動きについても「回答は差し控える」とコメントした。

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