日清食品関西工場(滋賀県栗東市)で職場環境の改善を求めて公益通報した後に不当な人事評価をされ、退職に追い込まれたとして、元契約社員の男性(66)が30日、同社に約330万円の損害賠償や退職無効などを求めて大津地裁に提訴した。
訴状によると、男性は平成30年7月から勤務。同社ではクリーンルームに入るために着替える時間が勤務時間に入らず、危険な高所作業の安全対策や熱中症対策も行われていないなどとして、令和3年に大津労働基準監督署などに公益通報した。
ところが、5年12月、工場の管理者が男性に人事評価が低いことを理由に「再雇用不採用通知書」を示し、「みんな退職届を書いている」などと退職を勧告。男性は6年3月、自主退職に追い込まれたとしている。
この日、大津市内で記者会見した男性は、「人事評価は事実無根。人格を否定される思いだ。大企業として会社が掲げる理念とかけ離れた現場であり、根本的な職場改善が不可欠だ」と訴えた。代理人の黒田啓介弁護士は「男性に対する不利益な扱いは公益通報者保護法第5条(不利益取り扱いの禁止)に抵触する」としている。
日清食品ホールディングス広報部は「訴状が届いていないので、コメントは差し控えさせてもらいます」としている。