パソコンがコンピューターウイルスに感染したと偽り、修理費名目で金銭を詐取する「サポート詐欺」に関与したとして、警察庁は30日、インド中央捜査局との国際共同捜査で同国籍の20歳代の男6人を詐欺容疑などで逮捕し、同国内のコールセンター2か所を摘発したと発表した。2023年8月以降、東京、大阪、福岡など28都道府県の約200人から、電子マネーや暗号資産計約1億8000万円相当をだまし取ったとみている。
日本の警察が、国際共同捜査で海外拠点のサポート詐欺グループを摘発するのは初めて。
発表によると、6人はインド国内で、パソコンの顧客サポート業務に偽装したコールセンターを運営。日本の被害者のパソコンに「ウイルス感染」などの警告画面を表示させた上、問い合わせてきた被害者からサポート料金として代金をだまし取った疑い。逮捕は今月28、29日。
被害を受けた約200人は、50~70歳代の中高年が約9割を占めた。詐欺グループのメンバーは日本語を操り、米IT大手マイクロソフトの社員などを装っていた。被害者に「アップルギフトカード」などの電子マネーを購入させ、代金を支払わせる手口だったという。
修理に必要な手続きにみせかけて、被害者のパソコンに遠隔操作ソフトをインストールさせた上、被害者名義の暗号資産口座を勝手に開設して送金させる手口も確認された。中には約2000万円相当の被害に遭った人もいた。
今回の事件では、サイバー空間の犯罪情報を収集している一般財団法人「日本サイバー犯罪対策センター」(東京)が、不審な警告画面の情報をマイクロソフト社に提供。同社は独自の分析結果を警察庁に共有した。
警察庁サイバー特別捜査部はこうした情報に加え、暗号資産の解析ツールを使うなどして犯罪収益の流れを追跡。容疑者に関する情報をインド当局に提供し、摘発につなげたという。
インド当局は、サイバー金融犯罪の摘発を強化しており、日本人をターゲットにした今回の捜査では、同国北部デリーなどの19か所の拠点を捜索していた。
日本国内では、サポート詐欺が急増しており、昨年は全国で1524件(被害総額約10億円)の被害が確認された。
日本を標的とする詐欺グループは近年、アジア諸国に拠点を置いており、警察庁は各国の警察当局との連携を強化している。