佐賀市金立町の児童福祉施設で、職員の川原千恵さん(55)が女に包丁で切られて死亡した事件で、佐賀県警は1日、司法解剖の結果、川原さんの死因は、両腕や胸付近を切られたり、刺されたりしたことによる出血性ショックだったと発表した。県警は、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した同県武雄市若木町川古、会社員平田ミル容疑者(28)について、容疑を殺人に切り替えて調べている。
県と県警によると、平田容疑者の子どもについての相談が県中央児童相談所に寄せられ、児相は5月12日、子どもを一時的に保護し、事件が起きた児童福祉施設「乳児院みどり園」に預けた。
翌13日、平田容疑者が児相を訪れ、「子どもを返して」と叫ぶなどしたため、児相が県警に通報。県警は、精神保健福祉法に基づいて、県佐賀中部保健所に通報した。保健所は「診察は不要」と判断し、同日中に平田容疑者を夫に引き渡した。
県警は、平田容疑者が子どもに会うために施設を訪れたとみている。県健康福祉部の種村昌也部長は「適切な対応だったと認識している」とコメントした。
事件を受け、施設に足を運んだ佐賀市の少年(16)は幼い頃に入所し、川原さんの世話になったと言い、「とても優しい先生で、悩んでいる時に話を聞いてくれる存在だった」とショックを受けていた。
平田容疑者は5月31日午後5時40分頃、施設で、川原さんに対し、殺意をもって包丁(刃渡り13センチ)で切りつけるなどした疑いが持たれている。「記憶にないからわからない」と供述している。
県警は、平田容疑者の職業をパート従業員と発表していたが、会社員と修正した。