今年1月から3月にかけての横浜市の中学校給食での異物混入などの報告が78件だったことが3日、産経新聞の情報公開請求で分かった。これまでに昨年4月から12月まで9カ月間に264件の報告があったことが判明しており、昨年度1年間の総計は342件となった。
1~3月分の「横浜中学校給食 異物混入等一覧表」によると、混入件数は1、2月が32件で、3月は14件だった。異物の種別では、この3カ月間で最も多かったのは毛髪で54件。虫とビニール片が6件、プラ片が4件、その他は8件だった。
同じ業者による異物混入の報告が一日に4件あったり、3日連続で毛髪混入の報告がなされた業者もあった。
同市教委学校給食・食育推進課によると、昨年度、中学校1校以上で給食の提供があったのは204日。提供日一日当たりの報告件数は約1・68件だった。
また、昨年度に報告があった342件のうち、同課が「重大な健康被害に至る可能性のある混入」として認定したものは8件で、健康被害の申し出はなかったとしている。
同課では「調理工程や身だしなみなどを指導している上でこういう状況になっているところをしっかり受け止め、対応していきたい」としている。
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減らない件数、生かされないデータ
昨年度の横浜市中学校給食における異物混入などの報告件数が342件に達する中、疑問を感じたのは、同市教委のデータへの向き合い方だった。
同課によると、寄せられた報告について、異物の種別や発注先の業者別、工場ごとの件数などの数字は確認していない。
同課幹部は「件数としてまとめてはないが、事故の中身についてはその都度確認している」と語る。だが、1、2月も30件以上の異物混入の報告がなされるなど、年間を通じて状況は改善していない。
全体の傾向を分析することでより有効な対策を探ることこそが横浜市が掲げる「データを活用し政策形成につなげる取り組み」のはずだ。
横浜市の中学校給食は来年度以降、選択制から全員給食に移行する方針。そうなると、昨年度は一日3万2千~3万6千食だった提供数は8万1千食に拡大する。
いかに異物混入を減らすのか。あらゆる視点から原因を分析し、現実に即した効果的な対応をしなければ、横浜市の中学校給食に対する信頼が回復することはない。残された時間は長くはない。(橋本謙太郎)