加古川中2いじめ自殺訴訟、和解 市が遺族に謝罪し解決金300万円支払い

兵庫県加古川市の市立中2年の女子生徒が平成28年、いじめを苦に自殺した問題を巡り、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟は25日、市教育委員会や学校側の対応が不十分だったとして市が遺族に謝罪し、解決金300万円を支払うなどとすることで和解が成立した。
訴えていたのは、28年9月に自殺した市立中2年の女子生徒=当時(14)=の両親ら。令和2年9月、学校側がいじめを把握しながら適切な対応を怠ったなどとして、市に約7700万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。
同支部は昨年6月に和解を勧告。市教委や学校側の不適切な対応が遺族の心情を深く傷つけたことを市側が謝罪する▽市はいじめの再発防止に取り組む▽市は解決金300万円を支払う-などとする和解案が今年4月に提示され、勧告以来8回目となるこの日の協議で双方が和解に応じた。
原告の代理人を務める立花隆介弁護士は両親からのコメントを紹介。「娘の自死から間もなく9年。現在も自責と寂しさ、学校・加害者への怒りが胸を強く苦しくさせる」などと苦しい心情を吐露。市に対しても「『法的責任はない』と主張され、二重・三重の苦しみを味わった」との思いを明かした。
その一方で「娘のことを思いつつも、私たちもこれをひとつの区切りとして前を向いて生きていきたい」との考えで和解を受け入れたとし、「教員には子供の命を預かっているという意識を、教委には教員ではなく子供を守る組織であってほしい」と訴えた。
立花弁護士は「認められるべきことが認められ、謝罪なども得られた。教員の方々は子供に対して関心、アンテナを高く持ち、気持ちに気づいてほしい」と強調した。
岡田康裕市長は「長年にわたるご遺族のご心痛に思いを致し、改めて心からおわび申しあげたい。教育現場における極めて重大な事案として重く受け止め、二度とこのような悲劇を繰り返さないため、市をあげて再発防止に取り組む」とコメント。小南克己教育長も「和解条項の一言一句を真摯(しんし)に受け止めて胸に刻み、いじめの未然防止・早期発見・迅速かつ適切な対応に全力で取り組む」とのコメントを出した。

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