自民党総裁選(来月4日投開票)に立候補した5人が24日、都内で開かれた日本記者クラブ主催の討論会に出席した。活発な論戦が期待されたが、相手の意見への同調発言が続出する異例の展開となった。
各候補が相手を指名して質問する形式の討論会前半。小泉進次郎農相(44)は林芳正官房長官(64)に「肝いりの日本版ユニバーサルクレジットについては…」と質問すると、林氏からは「よくぞ聞いてくれました!」の声。小泉氏に「現在の賃上げペースの維持をどう実現するのか」と聞いた高市早苗前経済安保担当相(64)は「物価高の中で、公定価格で働いている人の処遇の改善が必要」の答えに「公定価格の引き上げ等々は、私も賛成です」と一部同調した。
昨年の同討論会では、真っ向対立の論戦も見られた。衆院の早期解散を唱える小泉氏に、石破茂首相(68)が「世界情勢がどうなるか分からないのにすぐ解散しますという言い方は、私はしません」と反論。G7の外交姿勢を問われた小泉氏が「カナダのトルドー首相が就任した際の年齢と現在の私が同じ43歳なので、連携がさらに深まる」と珍回答し、発言が不安視されるきっかけにもなるなど、見どころがあった。
討論会後には東京・秋葉原で5人そろって街頭演説したが、ここでも各候補から明確に相手を攻撃する言葉は出ず。良く捉えると党内融和、悪く言うとぬるま湯。週末から始まる地方での演説会でも、同様の形が続くのだろうか。(樋口 智城)