総裁選を前に、小泉進次郎氏に”暗雲”が漂ってきた。
まずは”ステマ疑惑”。小泉陣営の総務・広報班の班長だった牧島かれん元デジタル相が、陣営関係者に対して「ニコニコ動画で小泉氏へのポジティブなコメントを書いてほしい」といった趣旨のメールを送っていたことを「週刊文春」が報じた。そのなかには〈ビジネスエセ保守に負けるな〉といった、ほか候補へのネガティブな内容もあった。
そして同誌が次に報じたのが、進次郎氏のお膝元、自民党神奈川県連における”勝手に離党騒動”。総裁選の投票資格を持つ自民党員826人が知らぬ間に離党させられており、総裁選の投票用紙が待てど暮らせど送付されてこなかったことが発覚の端緒となった。その元党員らの多くが、前回の総裁選で高市氏に投票していたのだという。
これに対して進次郎氏は「著しく事実に反する。強く抗議し、訂正を求める」などと真っ向から否定。自身のXにも〈事実に反する内容を印象付けるもので、自民党総裁選に不当な影響を与えかねない記事であり極めて遺憾です〉〈自らに有利になるように私や私の関係者が何らかの動きをしたかのように印象づける内容になっており、著しく事実に反します〉などと長文を投稿している。
自民党神奈川県連もすぐさま会見を開いて「総裁選の有権者数に大幅な訂正を出し混乱を招いたことをお詫びする」と謝罪し、「我々の事務的なミス」と強調。「離党手続きを行ったのが6月20日です。その後参院選があり総裁選なんて想定していない。ありえない」と党員票を操作する意図はなかったと否定。火消しに躍起だ。
しかしながら、自党内の混乱はおさまりそうにない。
山田宏参院議員は自身のXで〈ステマ事案も民主主義を揺るがす行為で倫理的にも完全にアウトだが、この問題は「党費を納入している826人もの党員を本人の同意なく(意図的に?)除籍した(原文ママ)」という点で、政治的にも法的にもアウトだろう。(中略)小泉進次郎氏は自民党神奈川県連会長としての責任を免れることはできないのではないか〉と厳しく断じた。
ある永田町関係者もこう眉をひそめる。
「小泉氏は混乱を招いたとして出馬を取りやめたほうがいいんじゃないか。もし総裁になったらステマや勝手に離党させていたことについて言われ続ける。小泉氏は選挙の顔。解散総選挙で今回のことを蒸し返されたら、いいことなんて何もありませんよだろう」
一方で小泉派の温度感は違うようだ。
「高市氏への票を削るために勝手に離党させるなんて、そこまで恣意的なことをするのかどうかは懐疑的だよね。 そもそも党員になるには、名前、生年月日、住所、電話番号、職業を記して党費を払えばいいだけ。写真付きの身分証明書も必要ないんですよ。お金さえ払えば、何人分でも党員になりすますことが可能なんだから」(小泉派の自民党関係者)
小泉陣営のガバナンスではなく自民党のユルい党員制度に問題がある、とでもいいたげだ。小泉派の視線は次の解散総選挙に向いている。この関係者はこうも続ける。
「執行部がなにを考えているかはわからないが、(小泉氏が総裁になって)補正予算が終わればさっさと選挙をやっちゃおうよ、という流れになりそうですよ」
当の進次郎氏は、総裁選の選挙期間中としては異例のASEAN農林大臣会合出席のため、フィリピン・マニラに外遊し帰国したところ。 数日の後には、自民党員の審判が待っている──。