前科者が“改名”で採用試験を突破、ターゲットの女児を巧みに手なずけ…“子どもの性被害”の専門家が語る「変態教師が学校から消えない」絶望的現状

〈 「女児の盗撮動画で“品評会”を…」前代未聞の“変態教師グループ事件”で暴かれた小中学校教師たちの“おぞましい本性”《捜査関係者は「メンバーはあと5人いる」と…》 〉から続く
「承認欲求」を満たすため――。おぞましい犯行に手を染めた鬼畜教師は、初公判でこう供述した。全国で増え続ける、教員による性犯罪。変態教師を教壇から撲滅すべく、教育現場の実態に迫る!(全3回中の2回目/ 続きを読む )
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スカートにスマホを差し入れられ…おぞましい性暴力の実態
文科省が発表した最新統計(人事行政状況調査)によると、2023年度に性犯罪や性暴力、セクハラ行為で処分を受けた公立学校の教員は320人。1988年の統計開始以降、初めて300人を超え、過去最多を記録した。
そのうち、54.1%が、教員の勤める自校の児童生徒に対する加害行為であった。
学校種別に見ると、最多は中学校の111人。次いで高校が100人で、小学校は85人、特別支援学校が22人と続く。
これまで事件化したものだけでも、校内で女生徒が教員からスカートにスマホを差し入れられる、口に指を入れられるなど様々な被害が確認される。
国は、22年4月に「教員による児童生徒性暴力防止法」を施行。児童生徒への性犯罪で懲戒免職となり免許を失効した元教員の復職を厳しく制限している。さらに、同法に基づき、性暴力等で処分をうけた教員データベース(DB)が整備された。文科省関係者が解説する。
「データベースが効果を発揮していない」
「全国67の都道府県・政令指定都市の教育委員会が、性暴力等によって免許を失効した元教員の情報を入力し、これを各教委や私立の学校法人が教員採用時に閲覧・活用することが義務付けられました」
しかし、この文科省関係者は嘆息する。
「320人という数字を見ると、こうした対策も効果を発揮していないことがよく分かります」
今回の変態教師グループ事件で明らかとなったのも、国の制度の限界だ。
「今回、2名の逮捕者を出した名古屋市教委は、DBの運用が始まった23年4月から今年6月まで、一切DBを確認しないまま、正規教員や常勤講師など延べ5932人を採用していたことが判明。
また、文科省の調査では、私立学校や幼稚園の運営法人の75%がDBを活用していなかったことも明らかになった。文科省がいくら法整備をしても、結局は自治体などの任命権者次第で形骸化してしまうのです」(同前)
前科者が“改名”で採用試験を突破することも…
もっとも、児童や生徒を狙う変態教師側は、あの手この手を使って教育現場に潜り込んでくる。前出の教委関係者が言う。
「17年には、愛知県知立(ちりゆう)市に講師として採用された男が、女児への強制わいせつで逮捕される事件が起きた。逮捕後、この男には4年前にも児童ポルノでの逮捕歴があったことが判明。
しかし知立市の採用時には改名しており、履歴書にも“大学卒業後は家事従事”等と虚偽の経歴を記載していた。DB運用開始後も、こうした改名が行われた場合には“法の抜け穴”になりかねないと危惧しています」
小児性愛障害者の3割強が教員や塾講師
なぜ、教員による児童生徒への性犯罪はなくならないのか。
日本で先駆的に性加害者の再犯防止プログラムを実践してきた「西川口榎本クリニック」副院長の斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士)はこう語る。
「主に13歳未満の子どもとの性行為に関する欲求・衝動・行動に持続的な関心を持つ小児性愛障害者は、男性で全人口の5%程とされますが、彼らの多くが子どもと関わる仕事に就く願望を持つ。
事実、当院を受診した、子どもへの性加害歴のある小児性愛障害者の3割強が教員や塾講師といった職業に就いており、自らの性嗜好が職業選択の基準になっている者がいる」
では、このような教師を見分ける方法はあるのか。
「困難です。例えば、典型的な加害教員像というのは、同僚から信頼が厚く、生徒からも人気のある“いい先生”なのです。
加害行為が発覚するのを最も恐れる加害者は、自然に周囲の環境に溶け込む。容姿より、声をあげないかどうかで対象児童を選定し、対象児童を徐々に手なずけ(グルーミング)、加害行為に及ぶのです」(同前)
変態教師にとっての学校は“性的コンテンツの宝庫”
同じく精神科医として小児性加害者の治療に携わり、性障害専門医療センター(SOMEC)代表理事を務める福井裕輝氏は、教師としての日常そのものが性犯罪のトリガーとなると指摘する。
「治療に当たる中で、就職した時点で『性加害をするぞ』と決めている人は見たことがありません。教員として勤めるうちに徐々に欲求をコントロールできなくなって性加害に至るケースがほとんどです」
今回の変態教師グループのように、盗撮を繰り返すことがさらなる加害へとエスカレートしていくという。
「初犯で強制わいせつや強制性交を犯すケースは稀で、最初は罪悪感を持ちづらくリスクの少ない盗撮から加害行為に足を踏み入れ、常習性・依存性を増していくケースが非常に多い」
前出の斉藤氏が続ける。
「SNSなどのコミュニティで盗撮した画像や動画を自慢し合うことで、性加害へのハードルは下がっていきます。対象をモノ化して共有することで、男同士の絆を強化するために、被害者が消費されている現実があります」
実名の卒業写真まで加工され…
学校がこうした性的コンテンツの宝庫となっているのもまた、認めたくない事実だ。児童ポルノなどを中心にネットパトロールを行うボランティア団体「ひいらぎネット」代表の永守すみれ氏が指摘する。
「ネット上では、子どもたちの盗撮画像だけでなく、上履きや体操服といった生徒の持ち物、修学旅行の際の写真まで、学校生活のすべてが性的コンテンツとして扱われ、個人情報とともに取引されている実態があるのです」
実際、「 週刊文春 」記者がネット上の盗撮画像共有コミュニティなどに潜入取材したところ、そこには驚愕の光景が拡がっていた。
〈こいつの上履き奪ってぶっかけ〉
メッセージと共に、女子生徒の顔写真と白濁した液体がかけられた上履きの写真が掲載されている。
〈教え子オナペ晒す〉
など、明らかに卒業アルバムと分かる顔写真が実名と共に晒されるケースも少なくなかった。
前出の永守氏が嘆く。
「これらのコミュニティでは、明らかに学校内で撮られた写真が大量に投稿されています。生徒同士はもちろん、教員による性犯罪や性暴力の温床になっていることは間違いない」
〈 「先生とキスできるんか」「エッチできるんか」女子生徒が執拗に迫られ…全国の学校内に広がる「教員による性犯罪」徹底取材で判明した衝撃の実態とは 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年8月14日・21日号)

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