石井章・前参院議員(68)(日本維新の会を除名)が詐欺罪で在宅起訴された秘書給与詐取事件で、公設秘書の名義を貸したとされる石井被告の親族の男性が東京地検特捜部に対し、「秘書の勤務実態があったことにしてほしいと石井被告から頼まれた」という趣旨の供述をしていたことがわかった。特捜部は、石井被告が男性に口裏合わせを依頼し、不正発覚を免れようとしたとみている。
起訴状などによると、石井被告は事務所スタッフだった大川香留被告(60)(在宅起訴)らと共謀し、親族の男性を公設第2秘書に採用したとする虚偽の採用届などを参院に提出。2021年5月~22年10月に国から秘書給与など計約828万円をだまし取ったとされる。
男性は当時、石井被告が理事長を務める社会福祉法人の従業員で、秘書としては働いていなかった。しかし、関係者によると、石井被告は男性に対し、公設秘書として勤務していたと特捜部の捜査に答えるよう依頼したとされる。男性も任意の事情聴取に、石井被告からこうした働きかけを受けたと説明したという。
特捜部は、石井被告による口裏合わせの依頼は証拠隠滅を図る悪質な行為だとみていたが、男性が実際には「勤務実態はなかった」と認めたことから、証拠収集への影響はないと判断。在宅のまま捜査して石井被告を起訴したとみられる。
特捜部は男性について、石井被告との共謀を認定した上で、詐欺への関与が従属的だとして不起訴(起訴猶予)としている。