16日午前11時15分頃、岩手県北上市和賀町岩崎新田の旅館「瀬美温泉」の支配人から、「露天風呂の清掃に入った従業員の姿が見えない」と県警北上署に通報があった。露天風呂の付近に多数の血痕があり、クマとみられる体毛が見つかったことなどから、同署は従業員の男性(60)がクマに連れ去られたとみて捜索している。
同署によると、現場には男性のものとされる眼鏡やスリッパが散乱し、クマとみられる体毛が10本ほど残っていた。露天風呂は川沿いにあり、高さ約1メートルの柵の下に血痕があったほか、柵の外には清掃用具が落ちていたという。
旅館の防犯カメラには露天風呂に向かう男性の姿が映っていたが、出てくる様子は確認できなかった。男性は1人で清掃していた。
旅館から北西2キロほどの山林で8日、クマに襲われたとみられる男性の遺体が発見された。同署はこのクマとの関連も調べる。17日は午前8時から捜索を再開する。
福島、秋田両県でも15日夜から16日朝にかけてクマによる人的被害が相次ぎ、男女5人がけがをした。福島県では1人で歩いていた喜多方市の60歳代男性がクマにかまれて顔や右手を負傷した。