埼玉県鶴ヶ島市の介護付き有料老人ホーム「若葉ナーシングホーム」で入所者の高齢女性2人が死亡した事件で、殺人容疑で逮捕された元職員の木村斗哉容疑者(22)が15日未明に施設に侵入し、1時間ほど滞在していたことが捜査関係者への取材でわかった。当時、施設にいた職員は1人で、県警は職員が少ない時間帯を狙ったとみている。
木村容疑者が県警の調べに「4桁の暗証番号で出入り口の鍵を開けた」と供述していることも判明した。防犯カメラの映像から、県警は1階の職員用出入り口の電子ロックを解除したとみている。施設内にも電子ロックが複数あるが、同じ番号で解除できたという。
木村容疑者は2023年5月~24年7月、施設で働いていた。施設側は「暗証番号は変えていなかった」と説明している。
捜査関係者によると、木村容疑者は15日午前1時台、施設に侵入し、2時台に立ち去っていた。周辺の防犯カメラには、施設に入る前に自転車で走行し、近くで降りる姿も映っていた。
木村容疑者は15日午前8時40分過ぎ、施設から約250メートルの東武東上線若葉駅近くで職務質問を受け、身柄を確保された。施設から南東に約600メートルの路上で、木村容疑者のバッグや血のついたナイフなどが見つかり、殺人容疑で15日昼、緊急逮捕された。
木村容疑者は15日未明、施設5階の居室で入所者の小林登志子さん(89)を刃物で切りつけるなどして殺害した疑い。司法解剖の結果、死因は首を圧迫されたことによる窒息とみられ、絞められたような痕があった。
木村容疑者は4階居室で暮らしていた上井アキ子さん(89)の名前も挙げ、殺害への関与を認めている。
小林さんは23年1月、上井さんは22年6月に入所した。木村容疑者は2人と面識があったとみられ、「恨みはなかった」と供述しているという。
2人の上半身にはナイフで切られたとみられる傷が複数あった。施設内の防犯カメラにはナイフを持って歩く木村容疑者が映っていた。「事前に購入した」と供述しており、県警は計画性があったとみている。
県警は16日、木村容疑者をさいたま地検に送検した。