外国人が母国の国籍のまま無期限で日本に滞在することができる「永住許可」。政府は10月から許可の要件を厳しくした。経済界は国内の人手不足に拍車がかかると懸念しているが、政府はなぜ厳格化に踏み切ったのか。
就業自由、承認後は再審査なし
日本国内では約412万人の外国人が暮らす(昨年末時点)。観光などの一時的な入国は空港や港での簡易な審査で済むが、日本で生活して働くには出入国在留管理庁が厳格に審査する在留資格を取得する必要がある。「経営・管理」「特定技能」など29の資格ごとに働ける職種や在留期間が決まっている。
「永住者」はそうした資格の一つで、連続10年以上の在留が必要になる。他の資格では原則として転職や起業などが認められないが、永住者は大半の職業に自由に就くことができる。数年おきに更新が必要な他の資格と違い、一度認められれば再審査もなく、「最も安定した在留資格」と言われる。
永住者は昨年末時点で中国人やフィリピン人など約94万人おり、資格別で最多の23%を占める。
「日本人の平均年収以上」に改定
出入国管理・難民認定法は、永住者に「独立の生計を営むに足りる資産または技能」を求めている。外国人政策の厳格化を進める高市政権は、10月から永住許可も厳しくした。審査基準の指針を改定し、「日本人世帯の平均収入を上回る水準の額に継続して達している」と明記。基準となる金額を具体化した。今年4月からの申請に遡って適用する。
入管庁が今年行った抽出調査では、永住者の生活保護受給率は1・96%で、日本全体の1・62%とほぼ同水準だった。同庁幹部は「独立した生計を求めており、生活保護を受けるのは問題がある」と説明する。
従来の指針では、単身の勤労世帯の場合は年収300万円程度が目安だった。総務省家計調査では、働く日本人の平均年収は単身世帯で約440万円で1・5倍近い引き上げとなる。目安を下回る場合は、現在の資格からの変更や帰国の検討を迫られるケースも出てくる見通しだ。
厳格化の背景には、「特定技能2号」の急増もある。2019年に始まった特定技能2号は、熟練した技能を持つ外国人に与えられ、更新回数に制限がなく、要件を満たせば無期限での滞在が可能だ。25年6月末に3073人だったが、今年6月末には1万8295人と6倍になった。27年頃には特定技能2号の外国人が永住許可を申請できるようになる。入管庁幹部は「永住は特権的な資格であり、急増を避けるため簡単に取れないようにする必要もあった」と打ち明ける。