政府は、東京電力福島第一原子力発電所(福島県)の処理水の海洋放出について、24日午後1時にも開始する方向で調整に入った。放出後、海水中の放射性物質トリチウム(三重水素)の濃度を定期的にモニタリング(監視)する。放出直後に測定した濃度は、27日にも公表する見通しだ。複数の政府関係者が明らかにした。
処理水は、福島第一原発事故で溶け落ちて固まった核燃料を冷却した後の汚染水を浄化処理し、大部分の放射性物質を除去したものだ。除去しきれないトリチウムについては、東電が放出設備で大量の海水と混ぜて100倍以上に薄め、濃度を国の排出基準の40分の1未満の1リットル当たり1500ベクレル未満に抑える。
政府が24日に放出を始めるのは、9月1日に福島県沿岸で沖合底引き網漁が再開されることが背景にある。事前に測定結果を公表して安全性を示すことで、風評被害を抑えたい考えだ。
処理水の海洋放出は、菅内閣が2021年4月に決定した。国際原子力機関(IAEA)に安全性に関する調査を要請し、IAEAは今年7月4日に放出の妥当性を認める包括報告書を公表した。