獣舎から雌のチンパンジー1匹が逃げ出した問題を受け、天王寺動物園(大阪市天王寺区)は17日、記者会見を開き、獣舎の寝室と通路の間の隙間から抜け出ていたことを明らかにした。同園は「多大なご心配とご迷惑をおかけし、大変申し訳ない」と陳謝した。
同園によると、チンパンジーは19歳の雌の「レモン」。獣舎のリニューアル工事に伴い、今月10日から仮獣舎で飼育されており、寝室と通路の間にある約20センチの隙間から脱走したという。
仮獣舎は使用前に点検や検査を行っていたが、レモンの体格が他のチンパンジーに比べて小さかったことから逃げ出したとみられる。同園は隙間を鉄板で溶接し、ふさぐ処置を行った。
向井猛園長は会見で謝罪した上で「20センチの隙間から体は出ないと考えていた。予測できなかった」と釈明した。
同園によると、レモンは17日午前10時15分ごろに仮獣舎から脱走。近くの木の上にいたが、獣医師が撃った麻酔銃が命中し、約3時間後の午後1時半ごろに木から落下したところを捕獲した。レモンはかすり傷はあるものの、すでに麻酔から目覚めているという。
このトラブルで、動物園は終日臨時休園となった。当時園内にいた客は避難したが、男性獣医師(42)が左ほおをかまれてけがをしたという。園は、安全が確認できたとして18日は通常通り開園する。