朝鮮人虐殺「差別や偏見は今も」 東大韓国学研究センター長が声明

9月1日に関東大震災から100年を迎えるのを前に、東京大大学院の外村大(とのむらまさる)韓国学研究センター長は31日、同センターのホームページで声明文を発表した。外村氏は震災直後に流言飛語が発端となり朝鮮人らが虐殺された背景を「民族解放を求める朝鮮人の活動を、正当な理由のない、自分たちに危害を加えようとする非合理的な行動であるという認識が日本人の間で浸透していたためだ」と指摘した。
その上で、現在も朝鮮人・韓国人に対する差別や偏見はなくなっていないとし、「過去の日本の植民地支配で生じていた人権侵害や経済的搾取を否定したり、正当化したりする主張も見受けられる」と指摘。日本での朝鮮や韓国の研究は「これまで以上に民族間の相互理解や友好的な関係を構築する上で重要な意味を持つ」と強調し、同センターの活動を活性化させていくとした。
また、震災によって当時の東京帝国大学の図書館に所蔵されていた朝鮮王朝(1392~1910年)の正史「朝鮮王朝実録」の大部分が焼失したことにも言及し、「この時、朝鮮の貴重な文化遺産が東京帝国大学にあったことは植民地支配と無関係ではない」と説明した。【ソウル日下部元美】

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