博多高剣道部員死亡、顧問と遺族和解 不適切指導が原因と認め

2020年8月に私立博多高(福岡市東区)の1年生だった侑夏(ゆうな)さん(当時15歳、名字は非公表)が自殺したのは、剣道部での不適切な指導が原因だったと当時の顧問2人が認め、遺族側と裁判を経ずに和解したことが判明した。侑夏さんの母親(42)と双方の代理人弁護士が12日、同市内で開いた記者会見で明らかにした。
学校側とは22年10月、裁判外での和解が成立していた。遺族側は元顧問2人にも謝罪などを求め、23年6月までに和解に至った。
和解の内容は、自殺は元顧問2人による不適切指導が原因と認め、真摯(しんし)に謝罪する▽解決金を支払う▽全力を挙げて再発防止に取り組むことを約束する――などとした。
学校側との和解内容によると、侑夏さんは20年4月に剣道の特待生として入学。素振り1840回、前後に動きながらの跳躍素振り800回などを1時間以内でするといった練習をさせられたほか、指導担当の元顧問からは「貴様、やる気あるのか」などと暴言を吐かれたり、必要以上に竹刀でつつかれたりしたという。
侑夏さんは同8月29日、「死ぬために部活休んだ」と自身のツイッター(現X)に投稿後、命を絶った。
会見で、侑夏さんの母親は「和解したからといって侑夏が帰ってくるわけではない。同じような思いをする子が出ないよう、彼女が見守ってくれるといいなと思う」と話した。
一方、元顧問の代理人弁護士は「元顧問は厳しい指導環境の中、剣道生活を送ってきた。今は通用しないという意識はあったが、修正が大幅に不足していた」などと説明。代理人弁護士によると、元顧問の一人は「体罰的指導を根絶するため、体罰は有害と伝えていきたい」と話したという。【志村一也】
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