【釜山(韓国南部)=岡部雄二郎、小池和樹】上川外相は26日午前、韓国の 朴振 外相と 釜山 で約1時間25分間会談した。韓国人元慰安婦への賠償を日本政府に命じた23日のソウル高裁判決について、上川氏は「極めて遺憾だ」と抗議し、韓国政府に適切な措置を取るよう求めた。
日本政府は、主権国家は他国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則から裁判に応じず、上告もしない方針で、判決は確定する見通しだ。
韓国政府関係者によると、朴氏は会談で、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的解決を確認した2015年の日韓合意を「公式合意として尊重している」と表明した上で、日本側と意思疎通を続ける考えを示した。
日本企業の資産が差し押さえられた元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟と異なり、外国政府資産はウィーン条約などで保護され、強制執行は容易でないとの見方が多い。日本政府は、司法手続きの行方を見極めつつ、今後も 尹錫悦 政権と未来志向の日韓関係構築に取り組む考えだ。
会談では、21日に「軍事偵察衛星」を打ち上げた北朝鮮に日韓、日米韓で連携して対処することを再確認したほか、韓国政府が釜山への誘致を目指す30年の国際博覧会(万博)についても意見を交わした。