野生動物の有害駆除に欠かせない「狩猟免許」の試験に申し込みが相次いでいます。
試験に挑戦するハンターたちは、相次ぐクマやシカの出没に、駆除は他人事ではないととらえ始めていました。
(受講生)「銃口内、異物なし実砲なし」
(講師)「この水平もダメですね。下に向けて」
(青柳記者)「こちらのような模造銃を使って、銃の組み立てや分解の仕方を講師が教えています」
25日に札幌で開催された講習会です。
クマやシカを駆除できる狩猟免許試験の受験者が試験の前に受講できます。
実技と座学に分かれ、猟友会札幌支部の会員が猟銃の組み立て方や解体方法などを指導しました。
狩猟免許は散弾銃などを扱える第一種銃猟のほか、空気銃を扱う第二種銃猟・網・わなの4種類に分けられます。
この狩猟免許、石狩振興局管内では今年度、試験の定員240人に対して475人から応募があったという人気ぶりです。
(講師)「使用してよい猟具か使用できないかを答えてください」
小樽市在住の藤本一美さんです。
今年初めて猟銃の免許を取得し、来月の試験ではー
(藤本一美さん)「今回はわなの免許がとりたくて講習に参加させていただいています」
猟銃と合わせて腕を磨きたいという藤本さん。
免許取得の背景にはある思いがありました。
(藤本一美さん)「いつも子どもが遊びに行っている公園にもクマがいたという話を聞いた時、これは共存できないな、子どもたちの身を守るためには仕方ないな。人の生活を守る自分の責任でもあるんじゃないかなと思った」
クマを駆除した自治体などに批判の声などが向けられていることについてはー
(藤本一美さん)「動物を殺めるというところに批判はあるかもしれないですけど、皆さんの社会貢献として有害駆除の活動で活躍できるように頑張っていきたい」
ハンターとして貢献したいという女性はほかにもー
札幌の有害対策関連の会社に勤める松倉英実さんです。
8年前に猟銃の免許を取得した松倉さんは、来年の春からは道の有害駆除に参加したいと考えています。
きっかけは農家の訴えでした。
(松倉英実さん)「(農家から)食い荒らされた部分は商品にならないので、とっていただいてありがたいという話は聞いています」
道内では毎年のようにクマやシカによる農作物の被害が見つかっています。
道によりますと、2021年度の有害駆除数はおよそ4万7千頭。
10年前はおよそ1万頭で年々増加傾向にありますが、一方でハンター不足が課題です。
(猟友会札幌支部 奥田邦博支部長)「ローカルに行くと町にハンターが3人しかいない、でもリカバーしなきゃいけないエリアは広大だとなると、圧倒的に(ハンターは)足りないですよね。僕たちは先輩として猟のスキルを教えます。安全意識を教えます。それを辞めないハンターを増やすことでそこを上げたい」
クマの駆除に携わるには免許を取得してから一定期間の経験が必要です。
有害駆除で貢献したいという人材をどう育てていくかー
後継者の育成が急務となっています。