防衛装備品の輸出緩和を巡り、公明党が態度を硬化させている。「平和の党」として存在感を発揮する狙いがある。年内決着を目指す自民党には困惑が広がっている。
「第三国への輸出はこれまでのあり方を大きくはみ出す。慎重であるべきだ」
公明の石井幹事長は1日の記者会見でこう述べ、国際共同開発する装備品の第三国移転に慎重姿勢を示した。高木政調会長も11月22日の記者会見で同様の認識を示しており、石井氏は高木氏と自らの発言が「党の正式見解だ」と言い切った。
石井氏が念頭に置くのは、日本が英国、イタリアと3か国で開発を進める次期戦闘機だ。現在の防衛装備移転3原則の運用指針では、共同開発国以外に輸出できない。装備品の輸出は相手国との関係を強化し、軍備増強を図る中国への抑止力強化につながるとの観点から、政府は昨年末改定の国家安全保障戦略で、現行指針の見直しを明記した。
自公両党の実務者で作るワーキングチーム(WT)は4月以降協議を重ね、7月には共同開発する装備品の第三国移転を容認する方向性を打ち出した。
こうした経緯を踏まえ、自民若手は公明幹部の発言を、「今までの議論を無視している」と批判する。WTは1日に国会内で会合を開いたが、石井氏らの発言に言及はなかった。水面下の調整で妥協点を探るとみられるが、自民からは「溝が深まっており、落とし所が見通せない」(中堅)との懸念も出ている。