詐欺や業務上横領などの罪に問われた元弁護士・渡辺一平被告(60)(名古屋市瑞穂区)の公判が8日、名古屋地裁であり、検察側は懲役12年、罰金2000万円を求刑した。弁護側は詐欺罪など一部を否認した上で情状酌量を求め、結審した。判決は来年1月30日。
起訴状などによると、渡辺被告は2017~19年、元会社役員の男(60)(1審で懲役6年、罰金1200万円の判決、控訴中)と共謀し、男が高齢女性に対する債権を持っているように装い、女性の口座を差し押さえるなどの手口で計約3億円をだまし取るなどしたほか、21年には特別清算手続き中の会社の預金1億5000万円を横領したなどとされる。
検察側は論告で、渡辺被告が債権についての契約書を偽造したなどとし、詐欺の故意があったと主張。「司法制度を悪用し、弁護士の仮面をかぶった反社会的勢力と言っても過言でない」などと批判した。
一方、弁護側は、渡辺被告は男に債権があると信じていたため、詐欺罪は成立しないと反論。「弁護士として社会的正義の実現に貢献してきた」と述べ、寛大な判決を求めた。