自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、東京地検特捜部が、松野博一前官房長官、高木毅前党国対委員長、塩谷立元文部科学相、世耕弘成前党参院幹事長の4人から任意で事情を聴いたことが関係者への取材で判明した。4人は最大派閥の清和政策研究会(安倍派)の幹部。いずれもパーティー券収入のノルマ超過分を裏金化していたとする政治資金規正法違反(不記載、虚偽記載)容疑で刑事告発されていた。
不記載、虚偽記載は、会計責任者との共謀が認められれば政治家も立件対象となる。ただし、共謀の成立には、政治家からの積極的な指示があったか、会計責任者からの報告を具体的に了承していたかを立証する必要がある。
関係者によると、派閥の事実上トップの座長を務める塩谷氏と、派閥の事務を取り仕切る事務総長経験者の松野、高木両氏は、派閥の会計責任者との共謀を否定する趣旨の説明をした模様だ。特捜部は、会計責任者の説明や派閥の事務所への家宅捜索で押収した証拠も踏まえた上で、派閥幹部の立件の可否を慎重に判断するとみられる。
また、世耕氏を含む4氏は派閥から還流資金を受領しながら、自身の政治団体の収支報告書に記載していなかった疑いでも告発されている。松野、高木、世耕の3氏は不記載額が1000万円を超えるとの指摘もあるが、いずれも会計処理への自身の関与を否定したとみられる。
松野、高木、世耕の3氏とともに安倍派の「5人衆」と称される西村康稔前経済産業相と萩生田光一前党政調会長も同法違反容疑で刑事告発されている。特捜部は、西村氏と萩生田氏についても任意の事情聴取を検討しているとみられる。
安倍派では、所属議員がノルマを超えて集めたパーティー券収入と、議員への還流分の支出がいずれも派閥の政治資金収支報告書に記載されていなかったとされる。議員側の収支報告書にも収入として記載されず、直近5年間で約5億円が裏金化していた疑いがある。【井口慎太郎、北村秀徳、岩本桜、山田豊】