新潟大などの国際研究チームは27日、2011年の東日本大震災の震源域を潜水調査した結果、海底で高低差26メートルの垂直な崖を発見したと発表した。地震によって断層が大きくずれ動いた痕跡という。崖は7~8階建てのビルに相当し、チームは「地震の破格さを物語る観測結果だ」としている。
同大の植田勇人准教授(地質学)が昨年9月、米民間企業が保有する深海潜水艇に乗り、宮城県沖の水深7500メートルの海底を調査した。南北に広範囲に隆起した海底の東側斜面で、巨大な崖を発見した。
東日本大震災は、太平洋側の海のプレート(岩板)が陸側の下に沈み込む境界で発生した。陸側の岩板が海側にはね上がり、巨大な地震や津波が起きた。崖は、地下の断層が急激に破壊された結果、海底に現れた段差の一部とみられる。周辺では、段差の一部が崩落したとみられる岩や泥の塊もあった。
チームによると、東日本大震災の震源域の海底で、実際に断層の段差が記録されたのは初めて。これまでも音波を使った遠隔探査や掘削調査が行われており、海底地形の調査が進めば、巨大津波の発生メカニズムの解明が期待されるという。
この日の記者会見で植田准教授は「内陸の活断層は数十センチ~数メートル程度だ。東日本大震災の桁違いの規模がよく分かる」と話した。