富山は5100戸で断水、老人ホームは紙おむつ使う急場策…事務長「入所者の栄養・衛生面が心配」

県内で最大震度5強を観測した能登半島地震から、8日で1週間を迎える。7日現在も富山県氷見市を中心に5100戸超で断水が続き、158人が避難所での生活を余儀なくされている。復旧は道半ばで、長引く地震の影響に被災者は不安と疲労を募らせている。(吉原裕之介、岸本健太郎)
栄養面や衛生面が心配

断水が続く氷見市藪田の特別養護老人ホーム「氷見苑」には7日午前11時半頃、2トン給水車が到着し、作業員がポンプで貯水タンクに注水していた。
「おむつの対応やゴミ処理など、限られた職員での作業に苦労した」。同苑の 飴井 貴博事務長(50)は、被災後の約1週間を、疲労の色を隠せない表情で振り返った。介護が必要な高齢者約50人が入所しているが、地震直後の断水でトイレや風呂、調理場が使えなくなった。入所者には紙おむつを使ってもらった。
4日朝になってようやく給水車が到着。貯水タンクに水が入り、トイレは使えるようになったが、入浴や洗濯ができるほどの水量はなく、今もほぼできない。食事は備蓄品などでしのいでいるという。飴井事務長は「給水はとても助かるが、断水がこれ以上長引くと、入所者の栄養面や衛生面が心配だ」と話した。
県によると、断水しているのは7日午前11時現在、氷見市5100戸、小矢部市28戸。氷見市によると、 子撫 川の水源から市内全域に配水しているが、水道管の多数が大規模に破損し、漏水しているという。破損箇所の修理は、上田子浄水場に近い南部地区から優先的に行っているため、北部地区の復旧に時間がかかっているという。
避難所に158人

県によると、今も高岡、氷見、小矢部、射水4市の15か所の避難所に計158人(7日午後1時現在)が身を寄せている。氷見市は最大の72人が避難する。
冷たい雨が降った7日、氷見市ふれあいスポーツセンターでは、避難者が段ボールで仕切られたスペースで生活していた。同市北大町の女性(85)は、息子と2人で地震当日から避難している。女性は「着の身着のままで来たから、夜の寒さがつらい」と話す。自宅は液状化現象で1階の床が波打ち、階段も傾いて危険なため、2階にある衣服も取りに行けないという。「これからどうしていけばいいか」と途方に暮れた様子で話していた。
同じ北大町から避難する50歳代の男性は今後、自宅に戻る予定だが、傾いてしまっており、応急危険度判定で危険と判断されたといい、不安を隠さない。「できれば仮設住宅に入りたいが、いつになるだろう」
市営住宅か賃貸型応急住宅を提供方針

県によると、7日午後1時現在の住宅被害は、氷見、高岡、小矢部など12市町の計704棟に上っている。
氷見市では、自宅での居住が困難な人に対し、〈1〉市営住宅〈2〉賃貸型応急住宅――を一時的に提供する方針だ。対象者にいずれかを選択してもらう制度を今週中に取りまとめるという。氷見市の窓口には、すでに41人(7日時点)から住居提供に関する相談があった。
高岡市も19日(午後1時~午後4時)まで、賃貸住居の相談を「伏木コミュニティセンター」で受け付ける。市によると、6日時点で57件の相談があり、すでに8件が市営住宅への入居を決めたという。

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