なんの因果か。東京地裁と東京高裁で今週、政治とカネの問題で永田町から退場を余儀なくされた元衆院議員2人が法廷の場に立つ。衆院東京15区(江東区)が地盤で長年、因縁のライバル関係の柿沢未途元衆院議員と秋元司元衆院議員がザンゲと身の潔白を主張するのだ。
柿沢氏は昨年4月の江東区長選を巡り、地元区議ら10人に約280万円を提供したほか、木村弥生前区長への投票を呼び掛けるユーチューブ広告を選挙期間中に掲載させるなどした公職選挙法違反の買収などの罪に問われている。
昨年12月に逮捕され、当初は容疑を否認していたが、争わない姿勢に転じ、先月6日に600万円の保釈金で保釈。14日に初公判が開かれる。有罪となれば公民権は停止となり、数年間にわたって選挙への再出馬は封じられることになるが、より早い政界復帰のために完オチしたとみられる。
一方、秋元氏はカジノを含む統合型リゾート(IR)を巡って、中国企業から賄賂を受けとったとされる収賄などの罪で2019年に逮捕され、21年9月に一審懲役4年の判決が出て、即日控訴していた。一審判決から約2年半たって、16日に控訴審の初公判が開かれる。
「秋元氏の弁護士は〝無罪請負人〟で知られる弘中惇一郎氏で、検察がつくった冤罪事件だと主張してきました。実際、賄賂を受け取ったとされる日の行動履歴に矛盾が生じており、本を出版するなど徹底抗戦している。高裁審理まで時間がかかったのは裁判所側が担当を交代させるなど、たらい回ししていたからで、逆転無罪になるのではないかともいわれています」(永田町関係者)
秋元氏と柿沢氏は12年の衆院選から東京15区を舞台につばぜり合いを演じ、21年の衆院選では秋元氏が不出馬となったスキに当選した柿沢氏が自民党入り。柿沢氏の事件では長年、自民党や秋元氏を支援してきた区議を買収し地盤を固めようとしたところ、ボロが出てしまい、支援した木村前区長ともども退陣させられたという背景がある。
柿沢氏は1日に議員辞職し、補選は4月28日に行われる。前回の衆院選は出馬断念した秋元氏だが、補選でどう出るか動向が注目されており、15区を巡る因縁バトルは続く。