「息子のために…」暴力団員の81歳母親が覚醒剤販売を手伝い逮捕 ヤクザにも8050問題の波

警視庁と石川県警の合同捜査本部は27日までに覚醒剤取締法違反(営利目的譲渡)の疑いで、東京都の指定暴力団・住吉会幸平一家の傘下組織幹部で無職の横田信裕容疑者(55)を逮捕した。
昨年7月26日、沖縄県の男性に覚醒剤約1グラムを送り、3万円を受け取った疑いが持たれている。同法違反(営利目的所持)容疑で神奈川県在住の横田容疑者の母親(81)、横田容疑者と同居の女(62)も逮捕した。
3人で密売グループを作り、横田容疑者が主導役として母親らに指示し違法薬物を密売していたとみられている。母親は「覚醒剤を売るのはダメだと分かっていたが、信裕はそれで生活していた。かわいい信裕のために手伝っていた」と話しているという。暴力団幹部が80歳を超える母親に覚醒剤の発送などを手伝わせていたとは驚きだ。
元暴力団関係者は「かつてヤクザは偉くなればぜいたくざんまいでしたが、今は暴対法と暴排条例でシノギがなくなり、やめる組員は多いです。そんな中、危ない橋を渡ることになる覚醒剤密売に手を出さなければならなかった横田容疑者はかなり苦しい生活を送っていたということでしょう。密売を手伝ってくれる若い衆もいなかったのでしょう。それでも幹部だから上納金は月10万円ほど払っていたのではないでしょうか」と指摘する。
住吉会の構成員は2013年には4200人だったが、22年には2400人にまで減少。それだけ暴力団でいることは〝おいしくない〟のだろう。また暴力団員の半数が50代以上と高齢化が進んでいる。
「暴力団は法人格で認められた企業ではないため、暴力団員であることは無職という扱いになります。無職の息子の生活のために母親が密売を手伝うということでは、ヤクザも〝8050問題〟に直面しているということです」(同)
8050問題とは、80代の親が50代の無職の子供の生活を支えるという社会問題のこと。背景には大人の引きこもり問題がある。この事件はひきこもりとは異なるが、暴力団でも厳しい生活を送っている組員がいるようだ。

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