上田女子短期大学(長野県上田市)は4日、記者会見を開き、来年4月から男女共学に移行し、「上田短期大学」に改称する方針を明らかにした。今後、文部科学省に名称変更を届け出る。同短大は現在の入学定員を維持し、募集を開始する方針。同短大の共学化により、県内の4年制女子大と女子短大が姿を消すことになる。
同短大は1973年設立。保育士を目指す学生に実践的な学びを提供する「幼児教育学科(定員100人)」と、地域社会での活躍を目的に、文理融合で学ぶ「総合文化学科(同80人)」の2学科がある。少子化などの影響により、2017年度からは両学科の定員を230人から180人に変更。コロナ禍の22年度は定員に対する入学者の割合が101・1%だったものの、23年度は計125人(69・4%)と大幅に減少した。
同短大の小池明理事長は会見で、共学化について「構想自体は前からあったが、機が熟した」と語った。また、20年11月に設けた「大学改革室」で同短大の基本構想を作成する過程で、以前から検討課題だった共学化を決断したといい、「男女の機会均等のため、受け皿になる女子短大の必要性も感じていたが、今回やっと踏み切ることができた」と述べた。
同短大は共学化に伴い、学生自らが主体的に議論して課外活動を行う「デザインの学び」を拡充させる。学習センターを新設し、4年生大学への編入学を希望する学生への対応を強化する。公務員試験対策講座などの単位化も検討するという。また、総合文化学科では県内の文化などを学ぶ「信州総合学」を必修科目としているが、「信州上田学」の講義も新たに導入し、より地域密着型の教育を進める。
減少する入学者への対策として、社会人の受け入れを推進し、社会人を対象とした最大6年間の長期履修制度も拡充する。小池理事長は「どのように社会に貢献できるかという視点を持ち、学生同士で学びを深めるには、人生経験の豊富な学生が入ることも重要」と強調した。
同短大の改称・共学化に伴い、県内全ての女子短大と4年制女子大はなくなる。4年制では清泉女学院大(長野市)が昨年、25年4月からの共学化と「清泉大」への改称を発表した。短大では長野女子短大(同)が24年度に長野短大となり、飯田短大(飯田市)も23年度に飯田女子短大から改称した。