警察の内部文書を漏えいしたとして、鹿児島県警の前生活安全部長・本田尚志容疑者(60)が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された事件を巡り、野川明輝本部長は7日、「(盗撮事件などについて)私が 隠蔽 の意図をもって指示を行ったことは一切ございません」と述べた。
本田容疑者は5日の勾留理由開示手続きで、女子トイレで盗撮したとして県警枕崎署員が5月に逮捕された事件に触れ、「野川本部長が隠蔽しようとしたことが許せなかった」などと主張した。これに対し、野川本部長は7日、県警本部で報道陣に「必要な対応をとっている」とし、「捜査が終結した際には説明できることについてはしっかり説明したい」と語った。
本田容疑者は3月、札幌市在住のライターに県警霧島署員によるストーカー容疑事案の処理結果を印字した書面を郵送したとして5月31日に逮捕された。
捜査関係者によると、本田容疑者が郵送した封筒には差出人の名前はなく、問い合わせ先として県警の前刑事部長の氏名や住所、電話番号が記載されていた。前刑事部長は盗撮事件の捜査に携わっておらず、県警は書面を郵送した動機についても調べる。
本田容疑者から書面を受け取ったライターの男性は取材に対し、4日に県警から「任意提出を求める」との連絡を受け、差出人が本田容疑者とわかったと明らかにした。本田容疑者については「面識はない」としている。
松村国家公安委員長は7日の閣議後記者会見で、「警察職員の模範となるべき立場にあった者が逮捕されたことは誠に遺憾だ」とした上で、「事件の全容解明に向けた捜査が推進され、警察庁においても必要な監察を行うことが重要と考えている」と述べた。