兵庫県の斎藤元彦知事の「パワハラ・おねだり体質」疑惑を元県西播磨県民局長(7日に死亡)が告発した問題で、新たな事実が発覚した。元局長の告発文書で「業務を理由に療養中」だと言及されていた元課長の男性が4月に死亡していたことが明らかになった。自殺とみられる。県はプライバシー保護などを理由に約3カ月にわたり公表していなかった。3月の告発以降、2人の職員の死亡が発覚するという異常事態となった。斎藤氏は続投を表明しているが、県政がさらなる混乱を招く恐れもある。
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プロ野球優勝パレードを担当
「病気休暇中」記載
元局長が作成した告発文書には、昨年11月に県が大阪府と開催したプロ野球阪神とオリックスの優勝パレードに関わる経費をめぐり、資金集めのため、信用金庫への補助金を増額して企業協賛金としてキックバックさせたと指摘した。その際、パレードを担当した元課長が「大阪府との調整に精神が持たず、現在病気休暇中」などと記載されていた。
関係者によると、男性は4月20日に死亡した。男性が亡くなったとの情報は県庁内に広がったが、県は3カ月にわたり公表しなかった。男性の子供のために、職場の有志で「遺児育英資金」を集めようとする動きもあったが、県幹部が止めていたという。
7月23日になって県職員向けのサイトに情報が掲載され、今後、遺児育英資金の手続きも進められる。
「遺族の意向」説明
斎藤氏は24日の記者会見で、「遺族の意向で公表していなかった」と説明した。
注目されるのは、斎藤氏の対応だ。16日の定例記者会見でも、「よりよい県政を目指すのが私の責任だ」と辞職を重ねて否定し、続投の意志を表明している。
県選挙管理委員会が県内41市町の選管に対し、「次期兵庫県知事選挙に係る選挙公報の配送先と部数について」と題したメールを送信していたことも報じられた。任期満了に伴う知事選は来年8月の予定で、憶測を呼んでいる。
兵庫県出身で同県政に詳しい政治ジャーナリストの安積明子氏は「元課長の死亡を公表せず、このタイミングでようやく明らかになるというのは不可解だ。遺族の意向があったのかもしれないが、職員や遺族を気遣う姿勢よりも知事の意向を優先させていたともとられかねない。選管の動きも知事の辞職が近いことを見越した動きにもみえる。知事は続投を表明し続けているが、もはや『百条委員会の調査結果を待って辞職する』と表明しなければならない局面に来ているのではないか」と語った。