立憲民主党代表選が自民の“お祭り騒ぎ”で完全埋没…若手や女性候補以上に大事な起死回生策

立憲民主党の代表選(9月7日告示、23日投開票)は、21日トップを切って枝野幸男前代表(60)が記者会見を開き、正式に出馬表明した。「人間中心の経済」を掲げ、教育やエネルギー、雇用など8つの柱の公約を発表。「立憲民主党を自民党に代わる新たな時代の国民政党へ進化させる」「裏金問題に怒っている自民支持者の明確な選択肢になる」などと力を込めた。
これで立憲も本格的に代表選が号砲、ということだが、集まった報道陣は自民党の小林鷹之前経済安保相(49)の出馬会見の3分の2ほどだった。自民党は11人も名前が挙がる乱戦のうえ、小林に続き若手の小泉進次郎元環境相(43)の出馬も確定的でメディアもお祭り騒ぎだ。野党の悲哀もあるが、立憲の代表選は完全に埋没してしまっている。
「早くから名前が出ていた候補者が新味に欠けたことも埋没の要因です。枝野さんと泉健太代表(50)。前代表と現代表で戦っても誰も興味を示さないでしょう」(立憲関係者)
第3の候補として、野田佳彦元首相(67)を推す動きが出てきたが、本人が「昔の名前で出ていますで本当にいいのか」と自虐的に発言するほどで、世間の関心が高まる気配はない。そこで、ベテランながら「昔の名前」ではない江田憲司元代表代行(68)や馬淵澄夫元国土交通相(63)への出馬要請も始まった。
しかし、これでは起死回生策にはほど遠い。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「知った顔ぶればかりでは、『世代交代』を訴え、40代の候補者が出てきている自民党に対抗できません。若手や女性の第4の候補が必要です。実は、そうした動きは水面下で出てきているようで、若手や女性が出馬にこぎつけられればインパクトを与えられる」
そして、顔ぶれ以上に大事な起死回生策は「代表選での議論のテーマ」だと、鈴木氏はこう続ける。
「政策や公約も大事ですが、今回の代表選は野党共闘で政権交代をどう目指すかの道筋をメインに具体的な議論を行うべきです。例えば、維新と組めるのか、国民民主と現実的な話ができるのか、共産党とはどんな協力関係を結ぶのか。世論調査で自民党の支持率が下がり、政権交代を期待する数字が上がっている。野党にとってこんなチャンスはない。野党共闘と政権交代の具体的な道筋を議論し、政権交代に現実味が出てくれば、世論の関心が集まってくると思います」
21日、枝野は野党共闘について、「永田町の論理の数合わせではなく、地域ごとに最も自民に勝てる連携の形を模索する」と話していた。
自民はダメだけど、立憲も期待できない──。こうした声を払拭できるか。代表選は正念場だ。
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