オーストラリア政府の新型艦の導入計画を巡り、日本政府が正式に参画の意思を伝達したことが分かった。今年6月には、豪政府の求めに応じて海上自衛隊の「もがみ型」護衛艦の技術情報を豪側に開示しており、もがみ型をベースにした共同開発計画で他国との受注競争に臨む考えだ。
複数の日本政府関係者が明らかにした。9月5日には日豪両政府の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)が豪州で開かれる予定で、共同開発についても協議するとみられる。
防衛装備品の技術情報の他国への開示は、「防衛装備移転3原則」で認められている。政府は6月に開催した国家安全保障会議(NSC)の局長級会合で、「豪州との共同開発には対中国を見据えた戦略的な重要性がある」と判断し、開示を決定。もがみ型の設計や性能に関する情報を伝えたもようだ。
三菱重工業が製造するもがみ型は、従来型護衛艦の半分の約90人での運用が可能で、機雷除去能力を備えるなど 汎用 性が高い。防衛省は、船体を改造して豪側の装備を搭載する形で、新型艦として共同開発することを検討している。
日本以外で候補国に挙がっているのは、スペイン、韓国、ドイツで、この3か国もすでに自国艦の技術情報を開示したとみられる。豪政府は今後、各国の提案を比較検討し、年内をめどに候補を2か国に絞り込むという。
スペインは、過去に豪海軍のミサイル駆逐艦を開発した実績がある。このほか、近年官民一体で武器輸出に力を入れている韓国は、今年5月に 申源湜 国防相(当時)が豪州を訪問して自国艦の売り込みを図った。
日本の受注に向けては、コスト面などを含めた総合的な優位性を示せるかどうかが課題となる。