知人女性に性的暴行を加えてけがをさせたとして在沖縄米海兵隊員が不同意性交等致傷容疑で書類送検された事件を巡り、沖縄県の玉城デニー知事は6日の定例記者会見で、米兵による性的暴行事件が県内で続発していることを踏まえ「隊員の教育のあり方に疑念を持たざるを得ず、在日米軍の規律が著しく乱れているとしか言いようがない」と述べ、強い憤りを示した。玉城知事は8～15日に訪米し、連邦議員や政府関係者らに米軍基地の過重負担の解決を訴える予定で、性的暴行事件の再発防止も求める。
玉城知事は会見の冒頭で、今回の事件について「女性の人権や尊厳をないがしろにする重大かつ悪質なものであり、断じて許すことができない」と述べた。
県内では、米兵が性的暴行事件で起訴されていたことが6月下旬に相次いで報道で発覚した。在沖縄米軍は事件を受け、隊員の行動や規律、振る舞いについての教育を強化するとし、在日米軍司令部も日本政府と連携し、米軍幹部と沖縄県、地域住民で構成する新たな「フォーラム」を創設して再発防止などについて意見交換する方針を示した。
こうした再発防止策について、玉城知事は「どのような内容と頻度で教育をしているのかを具体的に確認せざるを得ない」と指摘。在日米軍が提案したフォーラムに関しても、「実効性を伴わなければ意味はない。そこで取りまとめられたことをどう検証するかまできちっと取り決めたい」とクギを刺した。
6月に発覚した事件では捜査当局や政府が県側に事案を伝えていなかったことも問題になった。沖縄県警は県との情報共有のあり方を見直し、今回の事件は書類送検した5日に県側に伝えた。玉城知事は「引き続き事件の発生後は速やかに情報提供していただくよう、県警に対して求めていきたい」とした。【比嘉洋】