「改革」56回連呼の小泉進次郎氏 自民総裁選、露呈した〝弱点〟因習に切り込む意欲に期待も「選択的夫婦別姓」導入に異論噴出

自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、最有力候補とされる小泉進次郎元環境相(43)の改革姿勢に「期待と不安」が広がっている。6日の出馬会見で披露した「政策活動費の廃止」や「旧文通費(調査研究広報滞在費)の使途公開」など、永田町の因習に切り込む政治改革は評価が高い。「憲法改正」の賛否を問う国民投票の実施に意欲を示したことも保守層に支持されている。ただ、安易な解雇につながる恐れがある「解雇規制の緩和」や、家族のあり方を変えかねない「選択的夫婦別姓の導入」には疑問が指摘されている。小泉氏は会見で「改革」を56回も連呼した。父の純一郎元首相は「自民党をぶっ壊す!」と絶叫したが、拙速な改革で国民生活や家族の平穏を壊してはならない。

「新しい日本をつくりたい」「答えを出していない課題に決着をつけたい」「自民党が真に変わるには、改革を唱えるリーダーではなく、改革を圧倒的に加速できるリーダーを選ぶことだ」
小泉氏は出馬を表明した6日の記者会見でこう語った。
そのうえで、国民の信頼を失った自民党派閥裏金事件を受けた「政治改革」と、「解雇規制の緩和」「ライドシェアの全面解禁」などの「規制改革」、「選択的夫婦別姓制度の導入」などの「人生の選択肢の拡大」―という3つの改革を1年以内に実現すると述べた。
岸田文雄政権でも踏み込めなかった「政策活動費の廃止」と「旧文通費の使途公開」を明言したことは、小泉政治への期待を感じさせる。
ただ、「規制改革」と「人生の選択肢の拡大」には異論も多い。
まず、「解雇規制の緩和」は経済界の一部が強く求めるテーマで、労働組合などは「不当解雇が正当化される」「気に入らない社員を狙ったリストラに悪用されかねない」などと反発している。小泉氏は会見で「リスキリング(学び直し)や再就職支援」などを示したが、労働者より経営者に寄り添った政策ではないのか。
「選択的夫婦別姓の導入」は、リベラル派や経団連が「結婚後の改姓に伴う負担やリスクが大きい」などと支持しているが、自民党を長年支えてきた保守層を中心に「家族観が壊れる」として慎重論が根強い。
総裁選の候補でも、石破茂元幹事長(67)と、河野太郎デジタル相(61)が前向きなのに対し、小林鷹之前経済安保相(49)は慎重派。高市早苗経済安保相(63)は「別姓反対派」として知られる。
小泉氏は会見で、「もう議論ではなく、決着をつけるときではないか」と語ったが、識者の中には疑問を感じた人も多い。

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