臓器192件移植できず 実施施設の人員・病床不足の理由も 厚労省が初調査

厚生労働省は24日、脳死による臓器移植で、臓器提供者(ドナー)131人から提供された臓器のうち、移植できなかった例が令和5年に計192件あったことを明らかにした。ドナーの医学的理由や移植実施施設の人員や病床不足などの理由で、臓器が使用されなかった。厚労省が初めて実態を調査した。
調査は、厚労省が日本臓器移植ネットワークに報告を求め、提供を受けた昨年のドナー131人のデータを集計した。摘出された臓器のうち、192件が使用されなかった。内訳は、心臓が6件、肺が25件、肝臓が9件、膵臓が45件、腎臓が8件、小腸が99件。
移植が見送られた総患者数は、延べ3706人。理由別で、臓器の機能低下など「ドナーの医学的理由」が2195人と最多で、次いで「体格差・年齢差」が573人だった。人手不足やICUの満床などで手術の態勢が組めず、移植が見送られたのは509人。臓器別では心臓が53人、肺が364人、肝臓が15人、膵臓が55人、腎臓が5人、小腸が17人。
現状、待機患者が移植実施施設として登録できるのは、心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸が1カ所で、腎臓は2カ所。施設側の事情で優先順位の高い待機患者の移植が見送られる事態を防ぐため、厚労省は患者が登録できる施設の複数化などについて議論を進めている。

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