死刑が確定していた袴田巌さんの再審(=やり直しの裁判)で静岡地裁は「無罪」判決を言い渡しました。判決は「捜査機関による3つの証拠のねつ造」も認める踏み込んだものとなりました。
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事件から58年。
「袴田巌さんに無罪判決! 無罪判決と掲げられました!」
静岡地裁は捜査機関による“ねつ造”があったことを指摘し、「無罪」判決を言い渡しました。
今から58年前の1966年、静岡県にあるみそ製造会社の専務宅で一家4人が殺害された事件。逮捕されたのが、従業員だった元プロボクサーの袴田巌さん(当時30)でした。
平均12時間以上にわたる取り調べが続き、逮捕から20日目…
袴田さん(警察の取り調べの録音)
「大変に恐ろしいことをやったと思っています」
自白しました。
しかし、26日の裁判では、静岡地裁は捜査機関による「3つのねつ造」を指摘しました。
まずは、袴田さんの自白について…
裁判長
「心理的に追い詰め、犯人と決め付けて執ように自白を迫った非人道的な対応」
“実質的にねつ造されたもの”と認めました。
そして、最大の争点となった“5点の衣類”。血痕について「1年以上みそ漬けされた場合に血痕に赤みが残るとは認められない」として、捜査機関による加工のあと、隠されたものと指摘しました。
さらに、袴田さんの実家から発見された“ズボンの共布(ともぬの)”についてもねつ造と指摘し、“袴田さんが犯人であるとは認められない”と判断しました。
獄中から無罪を訴え続けた袴田さん。
袴田巌さんの姉 ひで子さん(91)
「『主文 被告人は無罪』というのが神々しく聞こえました。(袴田さんの)顔色を見まして、きょうかあすのうちに『無罪になったよ』ということを言いたいと思っています」
弟に代わり出廷していたひで子さん。無罪が言い渡された瞬間、顔を赤らめて目に涙を浮かべ、傍聴席では拍手が湧きおこったといいます。
自宅にいた袴田さんに報告。
支援者
「巌さん『いいことあった』って連絡来ました」
その後、支援者に支えられながら日課のドライブへ。
裁判長は、判決後も検察側が控訴できることを念頭に…
裁判長
「裁判所として時間がかかり申し訳ない。真の自由を獲得するには時間がかかる。ひで子さんには心身ともに健やかに過ごしてほしい」
弁護側は検察側に対し、控訴しないよう要請したということです。
(9月26日放送『news zero』より)