〈汚染水発言問題〉過去にはキャバクラ代を政治活動費計上の疑惑も…「口がすべっちゃう」野村農水大臣に地元市議は「思ったことを言ってしまう人」「もうご高齢ですし…別に大臣が怖いとかじゃないですよ」

東京電力福島第一原発にたまる処理水を「汚染水」と発言したことで批判が集まっていた野村哲郎農林水産大臣は31日、「汚染水」発言を撤回し、言い間違えだったと釈明、全面的に謝罪した。辞任については否定しているという。野村大臣といえば、これまでもキャバクラなどの飲食費を政治活動費として計上するなど政治資金に関する問題も報じられてきた。失言も含めて改めて大臣の資質が問われている。
中国の水産物の輸入全面停止に「大変驚いた。まったく想定していなかった」
「なんでその時に汚染水と言ったのか、ちょっと私も自分で言ったということをもう全然記憶になかったものですから」8月31日におこなった会見では全面的に謝罪はしたものの「汚染水」発言については記憶にないと述べた野村大臣。さらに9月1日に行われた会見では記者から下を向いて紙を読んで謝罪をしていると指摘を受け、「顔を上げて言えばよろしかったでしょうけれども私は時々やっぱり口がすべってしまう恐れがあるのでこうして間違わないように読ませていただいた」と弁明した。
東北の食材を食す野村農水相(写真/共同通信社)
こうしたあまりに緊張感のない謝罪の様子に野村大臣に対する批判の声はさらに高まっている。政治部記者が語る。「もともと福島県の漁業関係者に対する深刻な風評被害を首相官邸で協議しに訪れていたのですが、会議後の記者団のぶら下がり取材で『処理水』を『汚染水』と発言したわけですから配慮が足りないと言われても仕方ありません。また、8月25日に中国が日本からの水産物の輸入を全面的に停止すると発表したことに対しても『大変驚いた。まったく想定していなかった』と発言し、この程度のことも予想できないのかと不満の声があがっていました」農水分野の経験が長いベテランの野村大臣だが短期間で「失言」を繰り返している。さらに「失言」だけでなく、これまでには政治資金に関する疑惑も報じられている。2011年11月、当時参議院議員だった野村大臣が代表を務める2つの政治団体から、キャバクラやスナック、ラウンジなどの飲食代が政治活動費として計上されていることが報じられた。「2010年の2月~4月にかけて鹿児島市、宮崎市のキャバクラやラウンジなどで合計6回37万円2000円の支出が計上されていました。野村大臣の事務所は当時『参院選に向けて農政連関係者との打ち合わせで利用し、いずれも野村氏は同席していない。報告書の修正は検討していない』と回答していました」(前出・政治部記者)
(写真はイメージです)
また、2016年3月には政治資金オンブズマン(大阪市)から迂回寄付の疑いで鹿児島地検に告発状を送られたことを宮崎日日新聞に報じられている。JA鹿児島中央会から野村大臣の関連政治団体に寄付を行い、関連政治団体を通して野村大臣の資金管理団体に年計360万円が寄付されており法的に禁止される行為だと告発されたが、鹿児島地検はこれを不起訴処分としている。不起訴理由については明らかにされていない。こうしたことに加えて、今回は言い間違えてはいけない場面での言い間違えである。
複数の市議が野村センセイを庇った
ある市議は、今回の「汚染水」発言についてこう話す。「私が思うに野村大臣は率直に思っていることをそのまま言ってしまったのではないかって思っています。当然、政府与党としては汚染水とは口を裂けても言えないけど、汚染された水を処理したのが処理水ですよね。政府与党という立場をきちんと考えるべきだったとは思いますね」
野村農水相(本人Facebookより)
別の市議は「野村大臣もご高齢ですし、本当に言い間違えちゃったのかなって……。いやいや私は自民党ではないですし、野村大臣のことが怖いとかないですよ。ただ、79歳でご高齢なので間違えてしまうこともあるのかなと……。もちろん言動には気をつけるべきだとは思いますよ」と歯切れが悪い。また、野村大臣と面識があるという市議はこう庇った。「何度かお会いしたこともありますが、そのときは変な発言をされるということはありませんでした。個人的なことはほとんど知りませんが、今回のことは本当に言い間違えているのかなと思っています。間違いに対し謝罪をしているわけですし、それ以上私が何かを言うべきではないと思います」辞任を否定した野村大臣だが、野党側は8日に国会審議で追及する構えだという。
福島第一原発処理水タンク(写真/共同通信社)
※「集英社オンライン」では、野村哲郎農林水産大臣について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]X(Twitter)@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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