岸田文雄首相(自民党総裁)は、13日にも内閣改造・党役員人事に踏み切る。支持率が政権維持の〝危険水域〟あたりを漂うなか、顔ぶれを大幅に刷新して「新味」を出したい意向とされる。次期総選挙を見据えて、岸田政権から距離を置いた「岩盤保守層」の反応も重要だ。高市早苗経済安保担当相や、安倍晋三元首相が率いた安倍派幹部の処遇も注目される。
「日程は確定していない。日程を考慮しながら、人事の中身を考えていく」
岸田首相は7日、訪問先のインドネシアで記者団の取材にこう語った。
8日朝時点の最新情報は別表の通り。岸田政権を支える主流派閥領袖である麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長の続投が有力となった。
保守陣営が最も注目するのは、高市氏の処遇だ。
岸田首相は8月末、高市氏を官邸に招き、昼食を共にした。「人事の話はなかった」という。高市氏は現在、日本の安全保障を左右する機密情報の取り扱い資格「セキュリティー・クリアランス」(適格性評価)という難題に取り組んでいるが、留任は不透明だ。
党内最大派閥の安倍派幹部の処遇も注目だ。
萩生田光一政調会長と西村康稔経産相、松野博一官房長官は「要職で処遇」とみられる。「岩盤保守層」の信頼が厚かった安倍氏の後継会長の行方にも影響しそうだ。
洋上風力発電事業をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は7日、衆院議員の秋本真利容疑者=自民党離党=を受託収賄容疑で逮捕した。秋本容疑者は、河野太郎デジタル担当相の側近のため、河野氏の人事にも関心が集まる。
政治評論家の有馬晴海氏は「岸田首相は、支持率アップにつながる目新しい人事や女性抜擢(ばってき)が念頭にあるだろうが、登用できる人材が不足している。総裁選のライバルを閣内や党役員に囲い込み、手堅い配置を考えるなら、大幅な改造は考えにくい」と話した。
■内閣改造・自民党人事めぐる最新情報
《続投濃厚》
麻生太郎副総裁
茂木敏充幹事長
斉藤鉄夫国交相(公明党)
《要職起用へ》
萩生田光一政調会長
西村康稔経産相
松野博一官房長官
森山裕選対委員長
《「ポスト岸田」の処遇》
高市早苗経済安保担当相
河野太郎デジタル担当相
《女性活躍で注目》
上川陽子元法相
小渕優子元経産相
《文春砲》
木原誠二官房副長官